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大谷派が現在所蔵している『御伝鈔』は「康永本」といわれるものです。この「康永本」は「康永二載癸未法印宗昭七十四染筆」という奥書があり、覚如上人晩年の真筆とされているようであります。 東西分派後、当派に所蔵されることになりますが、秘本として本山の宝蔵に奥深く収納され、本山御正忌以外は拝読されることはなかったたといいます。そのために、一般寺院において『御伝鈔』は町版といわれるものが広まり、拝読されることが多かったようであります。現在は「康永本」が開版され下附されるようになり、また『康永本御伝鈔読法所作法』が出ていますので「康永本」に統一されている様子でありますが、町版と比べてみると辞句に三十数ヶ所の相違があるそうです。
他に覚如上人自筆とされるものには「高田専修寺本」「西本願寺本」等があり、これらの異本等を「康永本」と比べてみるとかなり辞句に異なる箇所があり、問題となるなるところですが「康永本」を書かれた時、覚如上人は老齢であり写しの誤りであるとか様々な説があるといいます。
・高田専修寺本 (重文)奥書永仁3年(1295) ・西本願寺本
(重文)奥書永仁3年(1295) ・東本願寺康永本
(重文)奥書康永2年(1343)
当派所蔵のものには「康永本」の他に「弘願本(重文)善如上人筆、奥書貞和2年(1346)」がある。 |
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