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名古屋別院の鏧と鏧台

別院にある鏧台の写真を集めてみました。携帯で撮った写真ですので画像が悪いです。

集めてみて思ったのですが、鏧の多さに驚いています。


本堂
通常用
平鏧台

分かりづらいかもしれませんが後平型です。

本堂用平鏧は毎日外陣・内陣と持ち運び移動させるので
総金箔は剥れやすく、別院では好まれないそうです。

総金箔は内陣形式の御堂で朝夕、
毎日上げたり降ろしたりする場合は向かないと思います。


鏧台は形より大きさの方が重要です。
平鏧は雲輪を置きますので、
あまり問題ない場合が多いと思いますが、
撥を置くスペースがないと困ります。


叩く場所により音色が違い、同じところを叩くので
打ったところのかたちが平らに変化してきています。
しかし、そこを叩くと音色がしまった良い音がします。


本堂
報恩講用
平鏧台

鏧に対して鏧台が少し大きいように見えます。
鏧の大きさは上の通常用と同じくらいの大きさです。

それでも鏧台は大きい方がよく
鏧を中央に置いた状態で
アソビのスペースは左右両方ほしいものです。
というのも右に撥を置くスペースは勿論
真四句目下等、大の音色で打つ時、
鏧が雲輪ごと左にスライドしますが、
余裕(アソビ)が全くないと力の行き所がなくなり
鏧が飛んでいってまうことがあるからです。


そのために、返しがあるものの方が鏧が落ちたり、
撥が転がったりする心配もないので安心です。


この鏧は報恩講の時しか打たないので
音色はまだまだですが
何処を叩いても同じ音がし、安定しています。


報恩講の時、真四句目下や句切をお勤めの鏧で
1打うつ度に鏧が雲輪ごとスライドし
再び中央に戻して、2打目を打つことがよくあります。

真四句目下のの1打目で雲輪がスライド(移動)せず、
鏧が飛んでいったこともあります。
(その時は添えていた左手で受け取って、鏧を戻し
何もなかったように2打目を打っていましたが…)


対面所
平鏧台

以前は本堂で通常時使用していた鏧と鏧台
鏧を新調、寄進していただきましたので、
対面所で使用することになりました。

鏧は現在の本堂用と比べると、
平ぺったさがあまりなく高さがあります。
厚みがあり、音色も少し硬め。





志経所
平鏧台

八猪目型というと経鏧のイメージがありますが
平鏧に使われています。
特に規定はないとも言われますが・・・
「あれは経鏧台だろう!!」と言う方もみえます。
あまり見慣れないと変に思いますが
言われなければ、気にならないかもしれません。

鏧が小さい場合、鏧台も小さくなるために
撥を置くスペースさえなくなってしまうことがあります。


便宜上鏧を左に寄せて、撥を右側に置きますが
見た目はバランスがよくありません。

通常、縦横の長さが違い、
横長がに置くと撥が置きやすいのですが
この鏧台は、小さいせいか、ほぼ正四角形です。


本堂下広間
平鏧台

壷繰型鏧台?
但し、上下の四隅がは平らになっているので
現在仏具屋のカタログ等でよくみるものとは
多少形状が異なっています。
所謂、礼盤の前机や脇机と同じような形をしています。
鏧台の原形はこのタイプかもしれません。
以前は対面所で使用していました。

卓を中央に置くと鏧台が縁にかかってしまいます。
鏧台が不安定なので、お経本を持っていて撥を置く場合、
返しがないので、撥が転がって落ちてしまうことがよくあります。

⑤⑥の鏧台は長年使っているわりには、
持ち運びしないので金箔が綺麗にみえますが、
撥を置く時すれるのでそこはどうしても剥れます。


志経所
平鏧台

もうひとつ同じタイプの鏧台がありました。
本堂下広間の鏧と同じく、撥のサイズが
合っていないので撥どめのところでとまりません。
志経所の鏧としては大きく
本堂用くらいの大きさがありますが
以前は本堂で使用していたかもしれません?

この鏧台も返しがありませんが
転がりやすい撥なので特に要注意です。


礼盤脇机

阿弥陀堂型  礼盤脇机
たしかに、上の写真の鏧台と同じかたちをしています。
鏧が礼盤に置かれていたという説も納得です。

蓮如上人の御遠忌の時、金箔を張り替えたので
綺麗ですが、返って扱いに神経を使います。






経鏧台
(特大)

総永代経用鏧台
別院の礼盤は普通のお寺より大きいはずですが
それより大きいんです。年1回しか使いません。
本山の大鏧(蓮如上人の御遠忌で使った鏧)
と同じ大きさと聞いています。
とても一人では持つことができませんので
出して写真とることができませんでした。
キンを乗せるとさらに高くなり
野球のバッターが打つように、両手で立って打ちます。


金箔のものを購入する場合、
一番下に手が入るタイプが良いでしょう④⑦⑨。
ただし④は鏧台自体が小さいので実際は指も入りません。


経鏧は雲輪を使用せず紅輪だけで鏧を乗せますので
撥を置く場所がありません。置くことができても
この鏧台の場合、撥を鏧台に置こうとおもうと
撥が経鏧に触ったかたちになります。


経鏧台
(大)

特別永代経等に使う鏧台。
これでもかなり大きいんです。
立て膝でないと打てません。

重くて持ちにくいこともあって金箔が剥れてきています。
金具のところを持つようにしていますが、ご覧の通りです。
通常の永代経は平鏧を使っています。

⑧の鏧台は重いのでしっかり持ってしまい、
そこが剥れています。
持ち運びする場合どうしても金箔が剥れると
覚悟しておいた方が良いと思います。


(写真では紅輪が乗ってませんが)
こちらの鏧台は鏧を置くと
撥を置くスペースが全くありません。


 鏧台をはじめ仏具を持つ場合、基本は一番下を持つように教わっています。便宜上、繰り抜きのところに指を入れたり、上を持つこともありますが、良くありません。必ず下から持ちます。
 金箔の場合、金箔のところは触れませんが、下面だけで持つのは不安定です。一番下を持つ場合でも、側面は金具のところを持ち金箔に触らないようにして持ちますが、それでも不安定で持ちにくく、結局金箔に触ってしまい、剥れてしまうことがあります。


雲輪は(鏧を打つ位置が低いと打ちにくいので)鏧を打つ高さ(位置)を上げる役割があるのだと思います。
雲輪は滑ってスライドする利点があるから必要であると(経験上)思います。たぶん雲輪なしで紅輪だけでは、スライドせず、打った瞬間に鏧が横に転がってキン台にあたるか下に落ちるかしてしまうような気がします。(実際打ったことはありませんが…)

そうそう、言うのを忘れていました。雲輪がスライドする?って聞いた事ないかもしれません。何か話しが変だなと思われたかもしれません。
というのは通常、紅輪の上でキンが滑って傾いたり、紅輪から飛んでいったりしますので、雲輪がスライドすることは先ずないのではないでしょうか?
別院では報恩講などの大きい法要では、おもいっきり強くたたくので、よく鏧が飛んでいきます。そのため、紅輪に輪ゴムを巻きつけて滑らないようにしますので、ほぼ固定されます。結果、力が逃げる場所がなく、雲輪ごとスライドしていくのです。そんなに強く叩かなくても、と思われるかもしれませんが、御堂が大きいために、おもいっきり強く叩かないと報恩講などでは物足りないのです。


単に、鏧が飛んだり、雲輪が移動したりするのは、鏧の打ち方が下手クソなだけ、という話もありますが・・・
あまり参考にならないコーナーになってしまい、失礼しました。


たまに、強く打たないでも紅輪から滑って傾いてしまう鏧があります。
輪ゴムでなくてもよいのですが、輪ゴムを巻く場合、意外と輪ゴムの劣化は早いので気をつけてください。ゴムが硬くなって切れたり、雲輪や鏧に輪ゴムが引っ付いて取れなくなる恐れがあります。ゴムによっては1年持たない場合がありますので、ご注意ください。





「鏧台に関しては、経鏧・平鏧を問わず、制約があるわけではありませんが、鏧の大きさに合ったものを選ぶのがよいでしょう。
 鏧台がなぜこのような形をしているかといいますと、古来、鏧は礼盤の畳の上に置かれており、それが外陣に降りても旧の形を保持するため、礼盤と似た形の台がしつらえられたという説があります。」
『真宗大谷派の荘厳全書』より



 その当時御堂形式や礼盤がどのような形をしていたか分かりませんが、礼盤の畳の上に置かれていたということは、今では想像できません。
 向畳に小さいケイを置くことは今でもあるそうですが、礼盤畳に鏧を置くスペースがあったのでしょうか。

 現在は内陣で平鏧や経鏧を打つことはありません

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