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中啓(ちゅうけい)は、親骨の中ほどから曲がり外側へ反っていて、畳んで閉じた状態でも銀杏の葉のように半開きのかたちになっています。中程から啓(ひら)いているから中啓と言われるそうです。扇の一種ですが、有職扇として宮中の公卿や神社の神官、能楽や狂言、日本舞踊でも用いられています。能では役柄によって扇の種類が違うようです。
大谷派では衣体を着ける時、法要に出仕する時に中啓を持ちます。真宗大谷派法規「法臈(ほうろう)法衣条例」というものがあって「施行条規」に第8種まであり、第2種から第7種までに用いられます。第1種は法服七条なので桧扇を持ち、第8種は間衣や教衣を着た場合なので小念珠を持ちます。
一般的なものは親骨が赤で、裏表が金銀無地又は花鳥や松などの絵が画かれているものが多く用いられています。かたちは凡そ中ほどから啓いていると思いますが、その啓き方は大きく啓いているもの殆んど啓いていないものもたまに見かけますが特に規定はないようです。大きく啓いているものは立派にみえますが、啓いていないもの同様に見慣れていないせいか違和感があるのは私だけでしょうか。
親骨の色ですが、赤色が最も多く用いられていますが、これも条例では規定がないようです。以前、お寺に白竹の中啓があったので別院で出仕する時に使っていましたが、よく「この中啓は何?」とか「使っていいの?」と質問されましたが、特に使っていけないとは言われませんでしたので一時期使ったこともあります。
白竹の中啓は、以前ご門首が持たれていたことから、同じものを持っていてはご無礼だということで使用されないこともあったと聞きます。 堂衆の方の話を聞いたところ、現在でも堂衆の方で使われている人はいないそうです。地方に行く時は持っていくこともあると聞きましたが、ご親修の時(ご門首が出仕される時)は持っていかないそうです。あくまで条例には規定がないので使ってもよいことはおっしゃっていました。 現在は法要の記念品で配られるように特別使っていけないというものではないようですが、ご遠慮して使うことを控えられる方がいるのも確かです。
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