東山の森・マンションコンサルタント
マンション管理講座
(Q10) 国土交通省が公表しているマンション標準管理規約(団地型)によれば、団地型のマンション管理組合の総会として、団地総会と棟総会の規定がありますが 、これらの違いは何ですか?
(A) 標準管理規約(団地型)によれば、複数のマンションが一つの団地(団体)を構成している場合、その総会のとして、団地総会と棟総会の両者が規定されています。
団地総会は、団地の区分所有者全員で構成し、団地全体の共用部分(棟の敷地以外の道路や公園等)の管理と団地全体で協議すべき事案についての決議を行います。他方、棟総会は各棟のそれぞれの区分所有者で構成し、その棟の共用部分の管理に関する決議を行います。
そもそも区分所有法の建前としては、団地においては、団地全体の管理組合の外、棟ごとにもそれぞれの区分所有者の団体(管理組合)が成立するということです(区分所有法第3条)。
ただ、小規模の棟で構成されている団地では、棟ごとに理事会を設け、集会を開くことは実際上困難です。またこれは、中規模の棟で構成されている団地についても同様です。
そこで区分所有法は,規約により各棟の共用部分の管理についても、団地管理組合によって行うことを可能にしています(区分所有法第68条)。この規約を定めるには、団地全体の総会の決議の外、各棟の決議(特別決議)が必要です。
これを受けて標準管理規約(団地型)では,団地内の全ての区分所有建物を管理の対象として、団地管理組合で一元的に管理するものとされています。そこでは、棟総会を定期的に開催することは予定されていません。棟総会の開催を必要とする事由については、区分所有法が団地総会によって決定することを認めていない事項(例えば、義務違反者に対する区分所有法57条〜60条の訴訟の提起,復旧・建替え等)に限定しています。
従って、標準管理規約(団地型)に準拠した管理規約を定めている場合、棟総会は、通常毎年は開催されません。上記の棟総会で決める必要がある事項が生じた都度、臨時の棟総会が開かれることになります。
なお、標準管理規約(団地型)は、平成9年に策定され、平成16年に改定されましたが、管理規約がいまだ単棟型になっている管理組合は多いようです。特に旧公団型規約が適用されている団地管理組合においては、通常、棟総会の規定が存在しませんので、今後団地管理規約を改正して「棟総会」の規定を付加する必要があります。
ただ、現行規約に棟総会の規定がない団地においても、棟総会の上記の専権事項の決議のためには、区分所有法の適用によって、棟総会の開催が可能ですので、問題がないとも言えます。ただし、将来的には、組合員に棟総会の存在を理解してもらうために、棟総会の規定を規約上明文化する必要があると思います。