東山の森・マンションコンサルタント

マンション管理・相談事例等





5 協力金について(項目一覧に戻る)

@Q マンションの管理規約において、マンションに居住していない組合員だけから協力金を徴収することを定めることができるか?

@A マンションに居住していない区分所有者(不在組合員)だけに金銭的な負担を課することは、その必要性があり、かつ、合理的な範囲内であれば可能である。


AQ マンション管理の基本法である区分所有法には、「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と定められている(31条1項後段)。@の協力金の規定は、この条項の適用があるか?

AA 最高裁は、協力金の負担は「特別の影響」に当たらないと判断している(最高裁平成22年1月26日判決)。


BQ 役員(理事)の辞退は可能か?
(管理組合の役員(理事等)選任方法について輪番制をとっている場合、自分の順番が回ってきたとき、役員の辞退をすることができるか?)

BA 管理組合と役員との法律関係は、委任契約であり(区分所有法28条)、管理組合員が総会の決議によって選任し、その候補者が承諾することによって成立する(役員の地位を得る)こととなる。
 そのため、総会で選任しても役員候補者が承諾しなければ委任契約が成立しない。従って、法律的には辞退が可能である。


CQ 次に、役員選任の辞退はできないとする(就任を強制する)規約は可能か?

CA 管理規約のなかに「役員の選任を辞退できない」旨の条項があっても、直ちに無効とまではいいきれない任意条項と考えられる。よって、委任契約が有効に成立するためには、候補者の承諾が必要である。従って、このような規約条項や総会決議があるからといって承諾がなされたものとみなすことはできない。


DQ さらに、候補者の辞退への対抗手段として、規約で役員辞退者に協力金(辞退金)を課すことは可能か?

DA 住民間の公平性確保や安易な辞退を許さないために、辞退者に協力金(辞退金)を徴収する規約がある管理組合において、このような協力金規定は、協力金額が過大でなければ可能であると考えらる。ただし、協力金がどの程度までならば過大でないといえるかは個別に判断され、明確な基準はない。ただ、辞退した役員任期中に限って、月額500〜2,000円程度の負担金を支払わせるのであれば過大とはいえないと考えられる。