東山の森・マンションコンサルタント

マンション管理・相談事例等





2 最高裁判決(高圧一括受電)について(項目一覧に戻る)

 4月の.勉強会では、「高圧一括受電方式を巡る最高裁判決(2019/3/5)」について判決の主文及び理由の読み合わせ、根拠となる法律や規約の確認、新聞各紙の読み合わせを行い、@裁判の経過、A判決の法的意味、B管理組合の取り組み姿勢、Cマンション管理士の関わり方等について話し合いを行いました。


「マンションの電気設備のおさらい」から始まり「高圧一括受電のメリット・デメリットの確認」も行い、3/28に開催されたマンション管理センター主催のマンション管理シンポジウムでの学識経験者の意見も紹介され、内容の濃い勉強会となりました。


1時間余りの意見交流のまとめとして

@専有部分に係る事案は、慎重に対応すること。

A様々な事案の質的違いを分析し、射程を考えることが必要であること。

が確認されました。


【以下は当日話し合われた概要です】


〈前提〉一審・二審と最終審(最高裁)とで原告と被告が入れ替わっているので、以下「管理組合側」と「組合員側」とする。


(1)最高裁判決についての当会の見解

@ 法令(区分所有法)条文の解釈について…共用部分の管理に関する条文を、個人財産である専有部分の管理に転用しようとした管理組合側の主張には無理があり、管理組合側の敗訴とした判決は妥当なものと考える。


A 今回のテーマである高圧一括受電導入について…管理組合側の取り組みには不足点や不明瞭な個所があり、管理組合側の主張を退けた判決は妥当なものと考える。


(2)管理組合側の勝訴となった事例(最高裁判決 2018年9月14日:共用部分と専有部分の一体工事について)もあるので、管理組合が組合員の財産に関与することは全面的に否定されるというものではない。


 両判決を比べてみると、管理組合側の取り組みのあり方に差があるように思われる。


 課題への理解度、取組姿勢、組合員への対応のあり方等管理組合側の十二分の対処があってはじめて組合員側や裁判官を説得でき、賛同が得られるのだと思われる。こう考えると、管理組合側のハードルは結構高い。


 なお、組合員どうしの裁判は、訴訟前や期間中はマンション全体に緊張感が漂う。また、結審後も尾を引くことになりがちである。


 さらに、管理組合側・組合員側ともに、心身や生活上また経済的に大きな負担を負うことになる。


(3)マンション管理士の役割について

@ 管理組合、特に理事会が課題を正確に理解できるよう支援する。

A 一般的にも言えるが、マンション内での訴訟はマイナス要素がより大きくなる。訴訟が避けられるよう、マンション内の融和に尽力する。


※今回は、判決文とマンション管理新聞第1099号記事等間接的情報を教材として検討しました。

 直接取材したわけではありませんので、誤った解釈があるもしれません。